活動報告
2021年度 活動報告
本年も昨年に引き続き、コロナウイルス感染拡大防止のために、恒例の年末報告会の開催が困難でした。2021年の報告書もこの書面をもって報告させていただきたいと思います。
中国・廈門市
中国厦門市内の「厦門愛彗自閉症教育培訓中心」の支援に関して
≪厦門愛彗自閉症教育培訓中心≫
2012年9月に基金と契約を結ぶ。中国では、それまで発達障害児のための専門的施設はなかったので、厦門愛彗自閉症教育培訓中心は行先に困った子ども達のために作られた私立の訓練センターである。2013年当初は在園児50余名の親子通所方式の小さな施設だった。その後、こうした施設の需要が一気に増え、現在9か所に分かれている。本拠地の厦門市(2009年設立)、安渓市(2015年設立)、永春市(2017年設立)、安渓茶校徳教部(2018年設立、愛彗を終了した子どもの職業訓練校)、霞ケ浦市(2018年設立),石獅徳化市(2019年設立)、龍渓市(2019年設立)、長汀市(2019年設立)厦門市に更に一つ(すべて福建省内)と増設するに至っている(地図参照)。
各愛彗では、規模によって定員が異なるが、約30名から150名ほどが学んでいる。
訓練は集団で行う感覚統合、音楽、リズム等と個別認識訓練を行っている。現在では、診断が下りるとこのセンターを病院で紹介されて来所することが多く、今では福建省において極めてメジャーな訓練施設となっている。
基金への要望としては、①専門的な診断と訓練のプログラム、②トレーナーの専門的な訓練、育成、③ご両親への講演、セミナー、が挙げられた。
2020年からは新型コロナウィルス感染拡大のために渡航が困難になったので、
オンラインでの面接支援の希望があり、現在まで継続している。
≪支援の経緯≫
基金からは、2012年6月の委員会の決定を経て、2012年9月6日に契約式を現地のご両親の参加の下で行う。以降3年更新で契約を結び、個別援助、ご両親への援助・相談、トレーナーへの指導等を、年2回現地に出向いて行っている。毎回数名の学生、院生が同行している。
これまでに、13回の現地指導を行った。第3回、第5回、第9回は無料の歯科健診も同時に行った。
しかしながら、2020年3月は、航空券等の手配を済ませた後で、コロナウィルスの話が飛び込んできて、渡航困難となり中止した。以後、現時点まで現地に行くことが出来ない。
2020年9月からは、オンラインで週一回、子どもを診て、発達の支援を継続している。コロナウィルスの感染状況を見て渡航が再開できれば切り替えるが、現在は見通しが立っていない。当分はこのオンライン方式を続けることになると思われる。現時点でオンラインを使って面接した子どもは約50名、1回だけの面接のものも数回にわたって継続したものも含まれる。また、子どもの面接時にはそれぞれの両親、指導者への指導も同時に行っている。
これに加えて、指導者への指導も定期的にオンラインで行っている。
≪支援の成果≫
発達相談を希望する両親は大変多い。同時に期待も大変大きい。
対応する人数に限りがあるので、順次進めている。この支援を通して、症状が軽減、または環境に適応したもの(幼稚園、小学校に進学する等)は90%ほどあり、一定の成果を挙げていると思われる。一番大きな要因は、ご両親、先生方の自閉児への関わり方の変化であると思われる。
2021年の支援では、幼稚園と愛彗の同児通園が増え、学齢期と同時に小学校に入学する子どもがほとんどとなっている。
スリランカ
≪これまでの経緯≫
2012年9月にスリランカに渡航したことを切掛けに、2013年8月、2014年1月に再度現地を訪問し、主に、農村部の教育状況と生活状況の視察を行い、委員会の決定を得て、2015年3月より教育支援を開始した。現在7年目である。
支援先は「学校」である。スリランカは、小、中、高校の区別がないので、一律に「学校」と呼ぶ。スリランカのご両親はとても教育熱心で、親は食べなくても子どもは学校に通わせることも多いらしい。とりわけ農村部では、経済的に困難な家庭も実に多い。中でも①親が小作人で、②親の学歴がない場合は、経済的に不安定に陥る世帯が多く、貧困を理由に退学を余儀なくさせられる者がある。
基金では、こうした経済的に困難な子どもの内、①ご両親の内、どちらかがいない、②どちらかが障害を持つ、あるいは病気である、③ご兄弟に障害を持つもの、あるいは病気を持つものを優先する形で、選考を行い、Warapitiya村、Monaragala村の2か所の計4つの学校の児童に奨学金を授与している。
奨学金は、日本円で一人年間5000円を授与している。学校は基本的には無料だが、副教材費や施設援助費としてお金を徴収されるので、貧しい家庭は通学が継続できなくなる。5000円の内、4000LKR(5000円のうちの約60%)を現金で、残りの金額で一年間分の学用品(ノート、ボールペン、色鉛筆、コンパス等)、制服の生地、通学カバンを購入して渡している。
現在までに選出されたのは、合計30名。5年を上限として授与している。対象となった学生は、両親がいなかったり、片親だったり、病気で働けなかったり、父母のどちらかが家出したりと状況は様々であるが、子ども達にとっては通学継続の支障となることは明白である。
≪2021年の支援≫
昨年に引き続き、コロナウィルスの影響で渡航は断念せざるを得なかった。昨年に引き続き、スリランカでもロックダウンが続いたり、学校が休校になったりを繰り返していた。学校は、2021年12月より数か月ぶりに再開している。
今年も昨年と同様、奨学金を送金する予定である。昨年は異例として、5年経過した4名を除く20名に奨学金と文具を授与したが、今年度は新たに選定し、6名追加される。昨年と同様に、文具等は現地で基金のために働いてくれているナンダセナさんが全て代行して購入してくれる予定である。また、昨年はオンデマンドによる遠隔授与式を行ったが、今年は聖霊中学・高等学校の生徒や、上智大学の学生などの参加を得て、3月14日、15日の2日間に渡り、zoomを用いてリアルタイムで授与式を行う予定である。
≪絵本プロジェクト≫
スリランカの教育支援には、教育奨学金制度のほかに、2018年より絵本プロジェクトが進行している。絵本プロジェクトは、日本の絵本を英語に訳し、スリランカの子ども達に届けるプロジェクトである。現在は南山学園聖霊高等学校の卒業生と英語科教師が母体となり進めている。年数回に亘り、在校生を対象に英語翻訳の講座を開催している。また、この他にもボランティアとして35名ほどが参加して、英訳に励んでいる。スリランカに渡航再開できる様になれば現地の学校に運ぶ予定である。
2021年は6月、10月の2回、聖霊高等学校で「絵本プロジェクト」の講座が在校生対象に開かれた。また、基金が開催する講座以外でも、聖霊中学・高等学校の英語教師が積極的に生徒に「絵本プロジェクト」を勧め、6月には100冊程度の翻訳された絵本が基金に寄付された。
今後の援助について
(1)中国・厦門の支援
今後は、コロナウィルスの状況を見てオンライン支援、もしくは安全性が確認できた段階で渡航支援に切り替える可能性もある。
いずれにしても、支援はこのまま継続となる。
(2)スリランカの支援について
同上である。
おわりに
2021年も昨年同様に基金にとって試練の年でした。
毎年同じ様に渡航できるものと思っていましたが、思わぬコロナウィルスという大災害に出会うことになり、支援に様々な支障が生じました。安全が確認できた段階で渡航しようと思っても、全く前に進めず、仕方なくオンラインに頼ることになりました。
ただ、スリランカ、厦門それぞれに現地で基金のために働いてくれる協力者がいてくれるお蔭で、基金の支援は休むことなく継続することが出来ています。また、日本においても様々な分野から多くの協力者がいてくれるお蔭で、支援は継続することが出来ています。こころから感謝しています。
大災害の中において「人々との繋がりの大切さ」を改めて痛感しています。
この先、コロナウィルスが終息した後を考えた時、今までとはまた異なった支援の在り方も模索する必要があるかと考えています。
一日も早くコロナウィルスが終息し、元の様に誰もが安全で安心出来る生活に戻れることを切に祈っています。
(文責:須磨美由紀・須磨千草)
2020年度 活動報告
中国・廈門市
≪厦門愛彗自閉症教育培訓中心≫
2012年9月に基金と契約を結ぶ。中国では、それまで発達障害児のための専門的施設はなかったので、厦門愛彗自閉症教育培訓中心は行先に困った子ども達のために作られた私立の訓練センターである。2013年当初は在園児50余名の親子通所方式の小さな施設だった。その後、こうした施設の需要が一気に増え、安渓市、泉州市、石獅市、霞ケ浦市,厦門市に更に一つ(すべて福建省内)と増設するに至っている。現在は7番目のセンターを病院内に建設中である。訓練は集団で行う感覚統合、音楽、リズム等と個別認識訓練を行っている。現在では、診断が下りるとこのセンターを病院で紹介されて来所することが多く、今では福建省においてメジャーな施設となっている。
基金への要望としては、①専門的な診断と訓練のプログラム、②トレーナーの専門的な訓練、育成、③ご両親への講演、セミナー、が挙げられた。
≪支援の経緯≫
基金からは、2012年6月の委員会の決定を経て、2012年9月6日に契約式を現地のご両親の参加の下で行う。以降3年更新で契約を結び、個別援助、ご両親への援助・相談、トレーナーへの指導等を、年2回現地に出向いて行っている。毎回数名の学生、院生が同行している。
これまでに、13回の現地指導を行った。第3回、第5回、第9回は無料の歯科健診も同時に行った。
しかしながら、2020年3月は、航空券等の手配を済ませた後で、コロナウィルスの話が飛び込んできて、渡航困難となり中止した。以後、現地に行くことが出来ない。
2020年9月からは、オンラインで週一回、子どもを診て、発達の支援を継続している。コロナウィルスの感染状況を見て渡航が再開できれば切り替えるが、現在は見通しが立っていない。当分はこのオンライン方式を続けることになると思われる。
≪支援の成果≫
発達相談を希望する両親は大変多い。対応する人数に限りがあるので、順次進めている。この支援を通して、症状が軽減、または環境に適応したもの(幼稚園、小学校に進学する等)は90%ほどあり、成果を挙げていると思われる。一番大きな要因は、ご両親、先生方の自閉児への関わり方の変化であると思われる。
スリランカ
≪これまでの経緯≫
2012年9月にスリランカに渡航したことを切掛けに、2013年8月、2014年1月に再度現地を訪問し、主に、農村部の教育状況と生活状況の視察を行い、委員会の決定を得て、2015年3月より教育支援を開始した。現在6年目である。
支援先は「学校」である。スリランカは、小、中、高校の区別がないので、一律に「学校」と呼ぶ。スリランカのご両親はとても教育熱心で、親は食べなくても子どもは学校に通わせることも多いらしい。とりわけ農村部では、経済的に困難な家庭も実に多い。中でも①親が小作人で、②親の学歴がない場合は、経済的に不安定に陥る世帯が多く、貧困を理由に退学を余儀なくさせられる者がある。
基金では、こうした経済的に困難な子どもの内、①ご両親の内、どちらかがいない、②どちらかが障害を持つ、あるいは病気である、③ご兄弟に障害を持つもの、あるいは病気を持つものを優先する形で、選考を行い、Warapitiya村、Monaragala村の2か所の計4つの学校の児童に奨学金を授与している。
奨学金は、日本円で一人年間5000円を授与している。学校は基本的には無料だが、副教材費や施設援助費としてお金を徴収されるので、貧しい家庭は通学が継続できなくなる。5000円の内、4000LKRを現金で、残りの金額で一年間分の学用品(ノート、ボールペン、色鉛筆、コンパス等)、制服の生地、通学カバンを購入して渡している。
現在までに選出されたのは、12名ずつ計24名。5年を上限として授与している。対象となった学生は、両親がいなかったり、片親だったり、病気で働けなかったり、父母のどちらかが家出したりと状況は様々であるが、子ども達にとっては通学継続の支障となることは明白である。
≪2020年の支援≫
2020年は3月に渡航の計画を立てるもコロナウィルスの影響で渡航中止せざるを得なくなった。スリランカの学校も3月から8月まで全休校の措置が取られた。9月の学校再開に向けて奨学金で渡航していた子ども達は渡航が困難になる恐れがあったので、今回に限り奨学金を送金した。2020年は5年経過した4名を除く20名に奨学金と文具を授与した。授与式はオンラインで作成した授与式を現地に送り行った。電気がないところだったので電気を引き、パソコンも借りて来てオンラインを繋いだ。文具等は現地で基金のために働いてくれているナンダセナさんが全て代行して購入してくれた。
≪絵本プロジェクト≫
スリランカの教育支援には、教育奨学金制度のほかに、2018年より絵本プロジェクトが進行している。絵本プロジェクトは、日本の絵本を英語に訳し、スリランカの子ども達に届けるプロジェクトである。現在は南山学園聖霊高等学校の卒業生と英語科教師が母体となり進めている。年数回に亘り、在校生を対象に英語翻訳の講座を開催している。また、この他にもボランティアとして35名ほどが参加して、英訳に励んでいる。スリランカに渡航再開できる様になれば現地の学校に運ぶ予定である。
2020年は2月、10月の2回、聖霊高等学校で「絵本プロジェクト」の講座が在校生対象に開かれた。その時に中日新聞の取材があり、生徒、卒業生が活躍する様子が記事として伝えられた。
(下記「第3回スリランカプロジェクトについて」参照)
当サイトの該当ページに飛びます。
今後の援助について
1)中国・厦門の支援
今後は、コロナウィルスの状況を見てオンライン支援、もしくは安全性が確認できた段階で渡航支援に切り替える可能性もある。
いずれにしても、支援はこのまま継続となる。
(2)スリランカの支援について
同上である。
おわりに
2020年は基金にとっても試練の年でした。
2019年の12月ごろから次の渡航を計画し、同行者の募集をして進めていきました。
毎年と同じ様に渡航できるものと思っていましたが、思わぬコロナウィルスという大災害に出会うことになり、一時的にすべての支援が中断しました。安全が確認できた段階で渡航しようと思っても、全く前に進めず、仕方なくオンラインに頼ることになりました。この先の再開の目途も現段階では立っていません。
ただ、スリランカ、厦門それぞれに現地で基金のために働いてくれる協力者がいてくれるお蔭で、基金の支援は休むことなく継続することが出来ています。こころから感謝しています。
いつでもすぐに支援先に飛んでいけることが当たり前だと思っていましたが、こうなってみてそれ自体がすでに恵まれたことであったと痛感しています。
一日も早くコロナウィルスが終息し、元の様に誰もが安全で安心出来る生活に戻れることを切に祈っています。
(文責:石川美由紀)
2019年度 活動報告
中国・天水市
医学奨学金は昨年同様に見合わせている。
中国・廈門市
2019年は3月、9月に渡航し、支援を行った。
愛彗では、在園児の増加に伴い、2012年度では厦門市に一ヶ所であったものが現在6ヶ所になり、トレーナー不足が目下の課題の様である。
また、在園児の年齢も20歳を超える者も出始め、職業の見通しを持った訓練や、職業訓練校との連携、就職先なども模索中である。現在職業訓練等の視察も行っている。
次回は2020年3月7日から12日までの渡航を予定している。
スリランカ
2019年は3月22日より29日まで渡航し、支援活動を行った。
今年は、当時聖霊で「スリランカ プロジェクト」に参加してくれたメンバーと卒業生4名が同行した。
今回は支援先の学校で、これまで支援した4年間の写真の展示と、日本文化の紹介を行った。
2019年までにWarapitiya村、Monaragala村、両農村部で各12名の児童、生徒が選出された。
内2名には2017年に当時聖霊高等学校2年在学中であった生徒さん達が学内で「スリランカ プロジェクト」という企画を行い、有志で集めた寄付金(約5万2000円)を全額充当した。2017年より向こう5年間分の教育費として毎年渡している。
絵本プロジェクト
このプロジェクトは、自分の手持ちの絵本を、自分で英語に翻訳してスリランカの学校に寄付をするものである。日本の子ども達の勉強にもなり、スリランカの子ども達にも必要な本を寄贈するものである。
2019年6月に聖霊高校で、第1回目の絵本プロジェクトが実施された。高校2、3年生の生徒40名ほどが各自の絵本を持って集まり、一生懸命翻訳に取り組んだ。マイケル校長も参加し、翻訳を手伝ってくださった。
次回第2回目は、2020年2月15日に「聖霊土曜セミナー」の一環として行う予定である。
また興味がある方は、1冊でも2冊でも2冊でもいいので、お願いしたい。
2018年度 活動報告
中国・天水市
医学奨学金は昨年同様に見合わせている。
中国・廈門市
10月に渡航し、支援を行なった。
また、2017年12月にも支援を行なった。
愛彗では、在園児の増加に伴い、2012年度には廈門市に1箇所であった施設が、現在では4箇所に増え、トレーナー不足が目下の課題のようである。
また、在園児の年齢も20歳を超える者も出始め、職業の見通しを持った訓練や、職業訓練校との連携、就職先なども模索中である。現在、本基金は職業訓練校などの視察や、セミナーも行なっている。
次回は2019年3月5日から10日までの渡航を予定している。
スリランカ
2018年は3月3日からから10日に渡航し、支援を行なった。
2018年までにWarapitiya村、MOnaragala村のの両農村部で選出された生徒は10名づつの計20名である。
その内のの2名は愛知県瀬戸市の聖霊中学・高等学校の64回生が行なった「スリランカプロジェクト」によって選出された生徒である。(「スリランカプロジェクト」の詳細は下の「スリランカプロジェクトについて」からご覧ください)
今年は天体望遠鏡を両学校に寄付した。これで子どもたちと天体観察をと考えていたが、渡航中は毎日夜になるとスコールで、子ども達との観察は断念せざるを得なかった。ホテルで見た所とても綺麗に月が見えた。
次回は2019年3月に渡航予定で、今回は初めての試みである、支援先とホームステイ先での写真展の開催を計画している。また天気が良ければ、、天体観察も行いたいと考えている。